Site Overlay

【Column】コロナ禍におけるキッチンカー事情|こちる cochill juice

この記事をシェアする

こんにちは!あっという間に5月も下旬。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
緊急事態宣言は全国的に解除されましたが、一部地域では感染者が増加する等、予断を許さない状況ですね。
「新しい生活様式」に慣れつつ、以前のような日常生活を早く取り戻したいものです。、

さて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当店はキッチンカーの営業を休止している状況です。
ニュース等でも取り上げられていることから、コロナ禍でのキッチンカーについてご質問を頂くことも多いので、本日はこちらの話題について。
私見も含まれておりますので、「なるほど、そういう考えもあるのね~」という程度でご覧いただければ幸いです。

コロナ禍でのキッチンカーをとりまく状況

キッチンカーの出店状況(当店の場合)

無添加フルーツジュース専門店・こちるは、2019年4月よりキッチンカーでの営業を開始。
平日はオフィス街への出店、土日はイベントや近隣の公園での出店をしておりました。
コロナの影響が顕著に出始めたのは、3月から。
平日は徐々に時差出勤・テレワークを導入する企業が増え、これまでの通勤時間帯の風景ががらりと変わりました。
これまで人が絶えず通行していた時間帯も、ぽつぽつと人が通り過ぎる程度にまで激減してしまったため、当店は緊急事態宣言後、平日オフィス街での出店を全て見合わせている状況です。
土日の出店についても、6月まで全てのイベントがキャンセル。
3~6月まで、既に予定が決まっていたものだけで18日分、申し込み予定だったものを含めると30日分程度の営業予定がキャンセルとなってしまいました。(平日出店を除く)

春先は、キッチンカー事業者にとってはかきいれ時。
お花見時期やGWには多くの人出が見込めますし、数万人規模のイベントも多数開催されます。
それらのイベントでの売上が全くなくなってしまったことは、かなりの痛手です…。

キッチンカーは出店場所を自由に変えられる?

キッチンカーの魅力のひとつに、「色んな場所で営業ができる」ことが挙げられます。
当店も、東京都内一円・千葉県内一円・横浜市内一円でのキッチンカーによる営業許可を取得しているので、このエリア内であれば、出店は「可能」となります。
しかしながら、実際には、どこにでも出店できるわけではなく、出店したい場所を管理されているオーナー様の許可や近隣の方々のご理解がないと、成立しません。
また、イベントなどの単発出店を除くと、やはり継続的に出店することで認知度・信頼度を高めることができるので、思いのほか「すぐに出店場所を変えられる」わけではないのが実情です。

コロナの流行以降、ニュースなどで「オフィス街に出店していたキッチンカーが、住宅街に場所を移して営業!」といった取り上げられ方をしていたのを目にした方もいらっしゃるかと思います。
当店も幸いなことにお声がけを頂いたのですが、スケジュールや人員の確保の都合上、見送らせて頂いたのですが、多くのキッチンカー業者が、これまで時間をかけて「育てて」きた出店場所を離れる判断をせず、苦しいながらも懸命に営業を続けられているのではないでしょうか。

キッチンカーは協力金の支給対象外?

コロナによって大きく売り上げが減ってしまった事業者向けに、国や地方自治体にて様々な支援策が用意されています。
「コロナウイルス感染拡大協力金」もその一つ。東京都のみならず、多数の自治体で制度化されているものの、実はキッチンカーでの営業については、明確に「対象外」としている自治体も少なくありません。
その理由は、大きく分けて2つ。
1つは、「テイクアウトで営業している場合は、協力を要請する事業者ではないから」というもの。
もう1つは、「店舗がない営業形態の場合は、そもそも『施設の使用停止』を伴わないから」というもの。
キッチンカーであるが故に、飲食店として休業に協力しても、協力金は支給されないという現実があります。
※上記が明文化されている自治体と明文化されていない自治体があります。
 ご自身が協力金支給対象かをお知りになりたい方は、所管の自治体窓口へお問い合わせください。

それでは、持続化給付金についてはどうでしょうか。
こちらについては、感染拡大協力金のような業態による支給対象の区別はないものの、原則、「昨年同月対比、50%以下の売り上げ減少」している事業者が対象となります。
皆さん、キッチンカーを街中で見かけるようになったのは、最近ではないですか?
そうなんです、もちろん10年以上キッチンカー事業を続けていらっしゃる方もいらっしゃいますが、ここ数年で人気に火が付いた比較的新規事業者が多い業態なのです。
1年間も事業を続けていないという事業者も多いですし、上述の通り、キッチンカーである程度の売上を作るには、時間がかかるため…昨年はまだお客さんがついていなかったから、50%もの売り上げ減少にはなっていない、という事業者も多いようです。

「キッチンカーはテイクアウトが基本だし、場所も色々変えられるから、コロナ禍でも営業を続けられる」という意見は一理あるのかもしれませんが、上述のようないくつかの事情があり、休業という選択肢をとれないという事業者も多いのではないでしょうか。

アフターコロナでのキッチンカー

緊急事態宣言解除後も、今後の感染拡大を防ぐため、多くの人が集まるイベントの開催が再開されるのはまだまだ先のこととなります。
また、「新しい生活様式」を取り入れていく中で、働き方も大きく変化していくことでしょう。
当店もキッチンカーを続けていくうえで、今回の一件から改めて認識したことがあります。

●エビデンスを残す
キッチンカーは徐々に知名度が上がっているとはいえ、店舗に比べて信用度が低いという事実は変わっていません。
そのため、各種支援の申請や融資の相談においても、様々な証拠(エビデンス)を用意する必要があります。
納税や売上といったエビデンスはもちろんですが、各出店場所は口約束(あるいは無許可)で出店しているものではなく、契約書上で明文化されていることや、イベント出店予定が確定していたとわかるエビデンス・イベント中止のエビデンスといった客観的な判断ができる材料を多く取り揃えておく必要性を感じました。

●リスクヘッジをする
何かに特化したビジネスモデルは素晴らしいですが、キッチンカーのように新しいビジネスモデルかつ信用度の低い業態においては、やはりリスクヘッジは必要と考えます。
キッチンカーと実店舗、キッチンカーと異業種の仕事、といった複数の事業展開をするのも一つの選択肢。
キッチンカー単独でも、出店場所を平日のオフィス街のみ、イベントのみ、と限定しない、出店場所に合わせて販売商材を変える、といったこともリスクヘッジといえます。
キッチンカーで出来立てを手渡しする方法にこだわらず、まとまった数量をケータリングすることも可能です。
何事も、強い信念とこだわりは大切ですが、環境の変化・ニーズの変化に対応できる柔軟性もある程度は必要と考えます。

●リレーションを築く
このコロナ禍においても、営業を続け、売上を積み上げているキッチンカーも沢山あります。
共通していえることに、これまで築き上げてきたリレーションがあるということではないでしょうか。
例えば、イベント等の中止により出店のめどが立っていないと聞けば、出店場所/機会を提供してくれる方がいたり、これまで出店していた場所に出店できなくなったと知って、それならば自宅へとデリバリーを頼んでくれる方がいたり。
当店も、オフィス街の営業を見合わせることとした際に、期間限定でタワーマンション群での出店機会のお話を頂いたり、せっかく車があるのだからと、ケータリングのご要望を頂いたり、ありがたいことに周囲の皆さんのあたたかいご支援を頂戴しております。
どんなにデジタル化が進んでも、やはり人と人とのリレーションが大切なんだなと改めて感じている今日この頃です。

長々と書いてしましましたが、最近のキッチンカーの状況について、まとめさせて頂きました。
国や自治体の支援内容は今後も拡充の方向性ですし、感染状況も今後どうなるかはわからないので、あらゆる面でしばらくは様子見な部分もあろうかと思います。
少しでも知恵を絞って、前進できるように、これからも頑張って参ります!